2023年9月24日、広島大学 広仁会館にて ≪令和5年度 日本歯周病学会中国四国3大学・日本臨床歯周病学会中国四国支部 合同研修会≫ が開催されました。
284名(現地参加68名、オンデマンド216名)の方々に参加していただき、無事に終了することができました。
研修会は小倉支部長からの開会挨拶に始まり、会員発表では、①松田 真司先生(広島大学医系科学研究科歯周病態学)、②藪 健一郎先生(亀宝歯科医院)、③平井 杏奈先生(岡山大学病院 歯科・歯周科部門)、④林 宏規先生(医療法人祐真会 はやし歯科クリニック)、⑤植村友美先生(徳島大学大学院医歯薬学研究部 歯周歯内治療学分野)の5名の先生方に発表をしていただきました。どの発表者もレベルの高い取り組みや、治療・研究内容を披露していただきました。
特に、籔健一郎先生の糖尿病―歯周病症例では医師だけでなく、栄養士とも連携をとりながら治療を進めていることには非常に勉強になりました。さらに、岡山大学の平井杏奈先生による発表で『ベーチェット病を併発したプラスミノーゲン低下症に伴うLigneous歯周炎患者』と言う非常に稀な疾患に対して、歯周病を通じて医科―歯科対応を行い、熱心に治療に取り組まれてことに感銘を受けました。
基調講演では、『侵襲性歯周炎を再考する~わかっていることと、わかっていないこと~ 』と言うタイトルで水野 智仁教授(広島大学大学院医系科学研究科 歯周病態学研究室)にご講演いただきました。日ごろから疑問に思っていた侵襲性歯周炎について丁寧にかつ、分かりやすくご講演いただきました。特に全身疾患関連での症例では、今まで見たことがないような症例も供覧していただき大変勉強になりました。また、遺伝子レベルでの研究も進んでいるようで、今後の侵襲性歯周炎の病態解明に近づくことを期待しております。
また、特別講演①では、『生涯教育のススメ~ともに学び、つながる~』のタイトルで 内藤 真理子教授(広島大学大学院 医系科学研究科 口腔保健疫学研究室)から御講演がありました。
歯科衛生士教育研修センターの4年間の取り組みを紹介されるとともに、課題や展望についてもわかりやすくご講演いただきました。 産前・産後休業や育児休業, 介護休暇後に復職を目指す歯科衛生士を対象に, キャリア継続支援のための相談窓口を設置し, 研修会を定期的に開催されるなど熱心に取り組まれており、歯科衛生士のリカレント教育の重要性を認識することができました。
さらに、特別講演②では『歯科衛生士の職業キャリア形成~プロフェッショナルアイデンティティの視点から~ 』のタイトルで長谷 由紀子先生(静岡県立大学短期大学部 歯科衛生学科)にご講演いただきました。
歯科衛生士の職業的アイデンティティ形成の視点から歯科衛生士の職業キャリア形成について, 研究結果を含めてわかりやすくご講演されました。今後、歯科界全体で、歯科衛生士がやりがいと職務満足を感じ、歯科衛生士という職業のキャリアを発達させる教育的支援について考えなければならないと認識いたしました。
特別講演③では『歯周組織再生療法をミクロの視点でとらえる』というタイトで辻 光弘先生(医療法人 辻歯科医院)からご講演がありました。
非常にたくさんの文献・資料を提示されながら、歯周病(見えない細菌)を治療するにあたって、どのような知識と心構えが必要なのかを、症例も提示されながら、わかりやすくご講演されました。
特に「歯周治療のガイドライン2022」の「全身性疾患への配慮」についてはとても重要だとわかりました。医科―歯科連携についても、しっかりとした知識をもちながら患者治療にあたる必要があることを再認識いたしました。
それぞれの発表・講演では、大学の先生方と開業医・歯科衛生士の垣根なく、ディスカッションも盛り上がり、日常の臨床に大いに役立つ研修会となりました。
最後に西原副支部長からの閉会挨拶で、次回も広島で中国四国支部研修会が開催されることを告知されました。長時間に及びましたが大盛況の中、研修会を終えることができました。
中国四国支部 小出康史