2024年9月8日に愛媛県松山の歯科医師会館にて『チームで取り組む歯周治療』のテーマで日本臨床歯周病学会 中国・四国支部 教育研修会が開催されました。
研修会は小倉支部長からの開会挨拶に始まりました。
会員発表①では、阿部 健一郎先生(医療法人社団 健樹会 阿部歯科医院)から『歯周組織再生療法における歯周基本治療の重要性』 のタイトルで発表されました。禁煙支援を通じて再生療法を確実に成功させた歯周組織再生療法の症例を発表していただきました。
会員発表②では、國府 美菜さん(医療法人ティーアンドワイ 山手グリーン歯科医院)から『患者に寄り添ったコミュニケーションと信頼関係の構築でSPTへと繋げることができた一症例』 のタイトルで発表されました。歯周治療においてオープンクエスチョンを用いたコミュニケーションは有用であり、歯科衛生士は患者と信頼関係を構築することでSPTへうまく導くことができた症例を発表していただきました。
会員発表③では、髙原 千尋さん(山脇歯科・矯正歯科)から『信頼関係の構築により行動変容と定期的なSPTにつながった症例』 のタイトルで発表されました。歯科衛生士による患者との信頼関係の構築が、患者に行動変容をもたらしたことにより、歯周治療に対する協力的な姿勢と意識改革に繋がり、うまくSPTへと導いた症例を発表されました。
会員発表④では、河島 紘太郎先生(ごこちデンタルクリニック)から『広汎型慢性歯周炎StageⅣ GradeCに罹患した患者に対してEr:Yagレーザーを用いて歯周治療を行った1症例 』 のタイトルで発表されました。従来の歯周基本治療に加え、Er:Yagレーザーを用いて深い歯周ポケット内のデブライドメントを行うことによって良好な結果を得ることが出来た症例を発表していただきました。手術中の動画も使いながら大変わかりやすい発表でした。
会員発表⑤では、西尾 美咲(ひらの歯科クリニック)から『綿密な連携によりビスフォスフォネート製剤開始前の患者に対して歯科治療を行なった一例』 のタイトルで発表されました。患者-歯科医師-歯科衛生士の思いが一致しないまま治療が始まったが、歯科衛生士として二者と綿密に連携し、一丸となって治療に専念できたため、結果的に患者の口腔状態の改善につながった症例を発表していただきました。歯科衛生士は歯科医師と患者をつなぐ架け橋になることが可能であり、結果的に患者に健口をもたらすことができることが分かりました。
特別講演では、『一緒に学ぼう、歯周治療』というタイトで水上哲也先生と下田 裕子さん(医療法人 水上歯科クリニック)から3部構成でお話がありました。
長年連れ添った信頼関係がよくわかるとともに、とても息の合ったお二人の講演であっという間の時間を過ごさせていただきました。
特に多忙な歯科医院において下田さんの歯科衛生士としての様々な役割を知ることができました。SRPなどの臨床テクニックだけでなく、患者様や院長とのコミュニケーションの方法など若い歯科衛生士さんは大変勉強になったと思います。
また水上先生におかれましては、再生療法を中心にどの症例もさすがの治療技術で感銘を受けました。特に、セメント質剥離の症例については大変勉強になりました。
今回の講演では息が長く、質の高い歯科医療を継続して提供できるヒントをいただけたような気がします。
それぞれの会員発表と講演ではディスカッションも盛り上がり、日常の臨床に大いに役立つ研修会となりました。最後に西原先生からの閉会挨拶で、来年度は広島で年次大会が開催されることも告知されました。長時間に及びましたが大盛況の中、研修会を終えることができました。
中国四国支部 小出康史
