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日本臨床歯周病学会令和4年度第2回九州支部研修会が開催された

2023年3月

九州支部:力丸哲哉

日本臨床歯周病学会令和4年度第2回九州支部教育研修会が、令和5年3月5日(日)に福岡市のパピヨン24ガスホールにて開催された。

現地+後日オンデマンド開催【オンデマンド配信は、令和5年3月20日~4月2日】という試みだが、現地会場は朝から昨年の約2倍の参加者が来場し、いよいよコロナ収束間近であることを予感する教育研修会となった。

まず、JACP九州支部支部長の安増一志先生が開会の辞を述べた(写真①)。その後、午前中は九州支部所属の3名の会員の先生が講演された。

最初の演者は、ナカノ歯科医院の中野宏俊先生(写真②)。「非外科的歯周治療の有効性や、限界と注意事項について」~安全性、確実性、侵襲性に考慮した歯周治療を目指して~という演題で発表された。術野を拡大して行う非外科処置は、垂直性の骨欠損において歯周組織再生の可能性がある一方で、低侵襲であるがテクニックセンシティブな側面が大きいと述べられた。超音波スケーラーの使用法や、歯周基本治療の院内での取り組みも紹介された。

次の演者は、坂田歯科医院の坂田憲彦先生(写真③)。「再生療法をより確実に成功させるために」という演題で発表された。歯周組織再生療法には基本的な手技やフラップデザインの選択など様々なレシピが存在し、同じレシピで歯肉弁を形成したとしても、手技や歯肉の状態や骨欠損形態などの違いによって治療結果が変わってくると述べられた。歯周基本治療徹底の重要さ、一次創傷治癒のための切開・剥離・縫合の実際、術前のフラップデザインの設計など、症例を通して解説され、臨床におけるコツや対処法を発表された。

最後の演者は田中歯科医院の田中憲一先生(写真④)。「垂直性骨欠損への対応」という演題で発表された。歯周炎罹患歯に対して歯周外科治療が必要であると判断後、歯周組織再生療法を選択した症例の具体的な術式と結果を解説された。患者のバックグラウンドを説明された後、長期症例から最近行った症例までを提示し、考察を述べられた。

午後行われた特別講演は、大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学天野敦雄教授(写真⑤)をお招きして、「考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するか」という演題で講演していただいた。数多くの著書を執筆されている天野先生の講演は、目から鱗が落ちるような内容で、う蝕・歯周病に対する最新の病因論を大変わかりやすく解説された。

う蝕・歯周病の原因は、周囲環境の変化で悪玉菌が増加し、バイオフィルムが高原化する現象であるdysbiosisであり、う蝕・歯周病の発生機序や治療法についても詳しく述べられた。

バイオフィルムの病原性を見分ける術や、従来のSRPで上手くいかない時のあまの式SRP法についても動画を用いて解説された。最後に歯周病治療において歯肉にとって良い食品と良くない食品を紹介された。質疑応答では、どの講演も熱気に包まれ、活発なディスカッションが行われた。

最後にJACP九州支部副支部長の中富研介(写真⑥)が閉会の辞を述べられ、会は盛況に終了した。

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