第44回日本臨床歯周病学会年次大会を無事終えることができました。
まず初めに、ご参加いただいた全国の会員の皆様、ご講演いただいた先生方、ご協賛いただいた企業の皆様、学会事務局、日本旅行の皆様、そして大会運営を支えてくださったすべての皆様に、心より御礼申し上げます。
おかげさまで本大会には約2,200名の皆様にご登録いただき、そのうち約1,600名の方々に札幌の会場へお越しいただきました。会場ではシンポジウム、特別講演、教育講演、ハンズオンコース、企業展示、懇親会など、それぞれの場で学びと交流が生まれ、北海道らしくアットホームで心温まるも6月の爽やかな気候の中で二日間を終えることができました。
また、7月13日から8月末日まではオンデマンド配信も予定しております。当日ご参加いただいた先生方には改めてご講演を振り返っていただき、会場にお越しになれなかった先生方にも北海道大会の学びを共有できれば幸いです。
今回、大会テーマを「ペリオコタン―人生100年時代の治療戦略―」といたしました。
「コタン」はアイヌ語で「村」を意味します。
人生100年時代の歯科医療には、新しい知識や技術を積極的に取り入れることが求められる一方で、先輩たちが積み重ねてこられた臨床経験やエビデンスを大切にすることも必要です。「温故知新」の気持ちが、これからの歯周治療に必要であると思います。
実は、この考え方は大会テーマだけではなく、実行委員会そのものでもありました。
北海道支部には、長年学会を支えてこられた経験豊かな先生方と、新しい時代を担う若い先生方がいます。私は大会長として、この両者をつなぐ役割を果たしたいと考えていました。
若手の先生方は、多くの新しい考えや挑戦したい気持ちを持っています。しかし、経験豊かな先生方を前にすると遠慮してしまい、自分の考えを十分に伝えられないこともありました。
一方で、ベテランの先生方は豊富な経験に裏打ちされた深いお考えをお持ちでありながら、若い先生方の意欲を尊重し、あえて一歩引いて見守ってくださる場面が何度もありました。
その間に立ち、お互いの思いをつなぎ、一つの方向へ向かって進めることが私の役割だったように思います。
時には意見が分かれることもありました。しかし、誰一人として自分のために議論をしていたわけではありません。
「より良い年次大会にしたい!」
その思いは皆同じだったと思います。
世代を越えて率直に話し合い、互いを尊重しながら、一つひとつ形にしていく。その過程こそが、私にとって最も印象に残っています。
振り返ると、実行委員会そのものが「ペリオコタン」だったのだと思います。
若手、ベテラン、また、歯科医師として様々な考えを持つ一人一人が集まり、語り合い、一つの村をつくる。
北海道チームが一致団結にできたことは、今回の大会で最も誇りに思うことです。
学術プログラムでは、二つのシンポジウムをはじめ、特別講演、歯科衛生士教育講演、三つのハンズオンコースなど、多彩な企画を実施いたしました。演者の先生方には、それぞれの豊富な臨床経験と知見、臨床的なテクニック、を惜しみなくご教授いただき、参加された先生方にとって日々の診療につながる多くの学びを得られる大会になったのではないかと思います。
サン=テグジュペリは『星の王子さま』の中で、
「本当に大切なものは、目には見えない」
と記しています。
大会を終えた今、その言葉を思い返しています。
参加者数やプログラムの充実は目に見える成果です。しかし、その土台には、夜遅くまで続いた会議、数え切れない打ち合わせ、誰にも見えない準備、互いを思いやる気持ち、そして「より良い大会にしたい」という実行委員一人ひとりの想いがありました。
本当に大切だったものは、そうした目には見えないところにあったのだと思います。
また、『星の王子さま』には、
「あなたは、あなたが時間をかけたものに対して、責任がある」
という言葉があります。
私たちは、この年次大会に多くの時間をかけました。
そして、その時間の中で、多くの先生方との新しい出会いや、これまで以上に深まったつながりを得ることができました。
この大会を通じて生まれたご縁を、一度きりの思い出にするのではなく、これからも大切に育んでいきたいと思います。
学会の価値は、優れた講演や最新の知見だけではありません。
人と人が出会い、語り合い、学び合い、支え合う。
そのつながりの中にこそ、日本臨床歯周病学会の魅力があるのではないでしょうか。
最後になりますが、この大会を通して改めて感じたのは、一つの年次大会は、多くの人の思いと支えによって成り立っているということです。北海道支部実行委員会の仲間をはじめ、ご協力いただいたすべての皆様との出会いと時間は、私にとって何ものにも代えがたい財産となりました。大会長として、そのような仲間に恵まれたことを何より幸せに思います。
この場をお借りして、関わってくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
第44回日本臨床歯周病学会年次大会
大会長 鳥井 優樹


